FLAGSのインタビュー企画「FLAGSな人たち」では、メンバー一人ひとりが掲げる「FLAG」と、その旗に向かうアクションを伺っています。
今回の「FLAGSな人たち」に登場いただくのは、ひろっぺさん こと土屋浩幸さんです。
ひろっぺさんは、FLAGSのイベントにもたびたび参加してくださっている、おなじみのメンバーの一人。THE ALFEEの熱狂的なファン(”アル中”と呼ぶのだそうです・苦笑)でもあり、この日もそこから話はスタートしました。
でも、いざ話し始めると、音楽、芸術、おもちゃ、ウェルビーイング、認知症、デザイン思考、システム思考……と、関心の幅がとにかく広い。
けれど、その一つひとつはバラバラに見えて、実はひろっぺさんの中で一本につながっているようです。
多方面に広がる関心と、その向こうにある一本の軸
ご本人では、「自分のことを話すのは苦手」と言うひろっぺさん。
自分が話すよりも、人の話を聞いて、その人の言葉の奥にあるものに自然と関心が向いていくのだそうです。
「それはどこから来ているんだろう」
「その人は何を大事にしているんだろう」
そんなふうに、人の内側にあるものを見つめようとする姿勢が、ひろっぺさんらしさなのだと感じました。
でも、話しだしたら止まらない。そして、その幅が広い広い。
ひろっぺさんのプロフィールページには、様々な肩書や強み、関心が列挙されています。
たとえば、最近のひろっぺさんの関心の一つが、「おもちゃコンサルタント」です。
おもちゃと聞くと、子ども向けの玩具を思い浮かべる人も多いかもしれません。
けれど、ひろっぺさんの話を聞いていると、おもちゃは単なる遊び道具ではありませんでした。
おもちゃは、人と人をつなぐコミュニケーションツールでもある。
子どもだけでなく、大人も、高齢者も、簡単なルールで一緒に楽しむことができる。
そこには、世代を超えて人がつながる可能性があります。
さらに、ひろっぺさんが惹かれているのは、おもちゃそのものだけではありません。
おもちゃコンサルタントは、おもちゃ美術館を運営するNPO法人「芸術と遊び創造協会」 による取り組みの一つです。その考え方の中には、「森林文化の継承と木育の推進」という視点もあります。
木を育て、切り、おもちゃにし、また循環させていく。
そこには、森を守ること、職人の技をつなぐこと、地域の経済を回すこと、そして日本の文化や伝統を次の世代へつなぐことまで含まれています。
おもちゃという小さな入口から、文化、自然、産業、コミュニケーションまで広がっていく。
ひろっぺさんの関心の広さと深さが、よく表れている話でした。
さらにひろっぺさんは、これらの多様な関心事が、実はひとつのことにつながっている気がするのだそうです。
これが、何につながっているのか。
そこを言語化しようと、引き続き探索を続けています。
応用ばかりではなく、基礎に戻りたい
ひろっぺさんは現在、京都芸術大学の通信教育でも学んでいます。
その背景には、「基礎に戻りたい」という思いがありました。
会社員として働いていると、日々の仕事の中ではどうしても応用ばかりになります。
目の前の課題に対応し、成果を出し、実践を積み重ねていく。
でも、ふと振り返った時に、
「自分は基礎が弱いのではないか」
「このままでは広がっていかないのではないか」
と感じたそうです。
では、本当の基礎とは何か。
ひろっぺさんがたどり着いたのが、芸術でした。
文化、伝統、芸能、そしてデザイン思考。
過去から受け継がれてきたものを学び、そこに自分がこれまで仕事で培ってきたシステム思考やデザインの手法を掛け合わせる。
そうすることで、社会に対して新しい貢献ができるのではないか。
ひろっぺさんは、そう考えています。
これまでの経験に、新しい学びを重ねる。
その先に、自分だからこそできることが見えてくる。
ひろっぺさんは今、その途中にいるのだと思います。
聞けなかった経験から、ウェルビーイングへ
もう一つ、ひろっぺさんの大きな軸になっているのが、ウェルビーイングです。
きっかけは、会社でマネージャーをしていた時の経験でした。
ひろっぺさんは、自分のことを「人の話が聞ける人」だと思っていたそうです。
けれど、ある時、自分はメンバーの話を本当には聞けていなかったのではないかと気づきます。
方針を立て、それを守らなければならないという思いが強くなりすぎて、いつの間にか目的と手段が入れ替わっていた。
そのことは、ひろっぺさんにとって大きな衝撃でした。
人は感情の生き物です。
感情を押し殺しても、よいことはあまりない。
だからこそ、自分自身がよい状態でいること。
自分で選択している感覚を持つこと。
その人がその人らしく動ける状態をつくること。
そこから、ひろっぺさんの関心はウェルビーイングへと向かっていきました。
ほぐす、ひらく、つなぐ
ひろっぺさんが今、旗として言語化しようとしている言葉があります。
「One & Crew」
そして、
「ほぐす・ひらく・つなぐ」
Oneには、自分自身のOneと、相手のOneの両方の意味があります。
Crewには、これから先に向けて一緒に進んでいく仲間という意味があります。
そのうえで、ひろっぺさんは「ほぐす・ひらく・つなぐ」というプロセスを大切にしています。
まず、感情をほぐす。
人は、気持ちが絡まったままでは前に進みにくいものです。
だから、まずはその人の中にある感情や言い訳を出してみる。
「なぜそう思うのか」
「本当は何が引っかかっているのか」
それを話していくうちに、自分でも気づいていなかったことが見えてくる。
次に、ひらく。
感情が少しほぐれてきたら、論理的に整理していく。
どこに向かえばよさそうか。
何ができそうか。
何が見えてきたのか。
視界がひらいていくような時間です。
そして最後に、つなぐ。
感情だけでも動けない。
論理だけでも動けない。
だから、その二つをつなぎ、「では何をするのか」というアクションへ結びつけていく。
ひろっぺさんがやろうとしているのは、その人の中にある思いを、実際の一歩につなげることなのだと思います。
旗を立てる前の、もやもやにも価値がある
ひろっぺさんは、自分の旗について「まだ旗になりきらない」と話していました。
でも、その途中にある言葉や考えは、とてもFLAGSらしいものでした。
FLAGSは、完成された旗だけを掲げる場所ではありません。
まだ言葉になりきらない思い。
なんとなく気になっていること。
これまでの経験が、少しずつ一本につながっていく感覚。
そういうものを持ち寄り、話しながら、少しずつ形にしていく場所でもあります。
ひろっぺさんの「ほぐす・ひらく・つなぐ」は、まさにそのプロセスを支える考え方です。
誰かのやりたいことを、いきなり正解に導くのではなく、まずほぐす。
その人の視界をひらく。
そして、次の一歩につなぐ。
これは、旗を立ててアクションするFLAGSのあり方と、とても近いものだと感じました。
形にするために、動き出す
ひろっぺさんは、この考えをどう事業にしていくかについて、今まさに悩んでいるそうです。
お金を取らない形では、これまでも少しずつやってきた。
けれど、それを事業として提供するとなると、難しさもある。
だからこそ、ひろっぺさんは次のアクションとして、Musashino Valley Incubation Studio に参加します。
もやもや考えているだけではなく、実際に事業化の場に身を置いてみる。
やってみることで、形が見えてくるかもしれない。
その姿勢自体が、すでにFLAGSらしいアクションです。
「どうせやるなら、形にしたい」
そう語るひろっぺさんの言葉には、静かな熱がありました。
ひろっぺさんの旗に、これから何が集まっていくのか
ひろっぺさんの話は、一つのテーマに簡単には収まりません。
おもちゃ。
木の文化。
芸術。
ウェルビーイング。
感情。
デザイン思考。
システム思考。
人のやりたいことを形にすること。
一見バラバラに見えるものが、ひろっぺさんの中で少しずつ一本につながり始めています。
その中心にあるのは、きっと「人が自分のOneを見つけ、仲間とともに進んでいくこと」なのだと思います。
FLAGSは、旗を立てる場所です。
でも、旗は一人で立てるだけではなく、誰かに聞いてもらい、応援され、時には一緒に動く仲間ができることで、少しずつ形になっていきます。
ひろっぺさんの旗も、まさにこれから形になっていく途中です。
気になる方は、ぜひひろっぺさんに声をかけてみてください。
おもちゃの話でも、ウェルビーイングの話でも、芸術の話でも、きっとどこかであなたの関心とつながるはずです。
そして、その対話の中から、あなた自身の旗も少しずつ見えてくるかもしれません。
編集後記:
インタビュー後、無事にひろっぺさんは「おもちゃコンサルタント」のプログラムを修了したそうです!


